ナンピンは非常に有名な投資手法であり、ループイフダンやトラリピと比較されることも多いです。
今回はそれらを比較します。
「FXでは低レバ・ナンピン(低レバレッジ・ナンピン)が最強」とはFXが流行りだした頃から言われています。
★ナンピンとは。
ナンピンとは下落した場合に買い増すことで平均価格を下げる手法です。
各ポジションを買うレートや数量に制限はありません。
ある程度上昇した時(通常は総損益がプラスに転換した時)に全部決済することが多いです。
●ナンピンの長所。
- 平均価格が下がっているので比較的小さい上昇幅でも全ポジションを決済しつつ利益を得られる。。
- 全部決済するため長期塩漬けポジションが発生しにくい。
- 買うレートや数量をその都度調整し相場観に応じた取引が出来る。
●ナンピンの短所。
- その都度、買うレートや数量、決済レートを考える必要がある。
- 自動化されていないので発注するのが面倒。
- 決済レートが決まっていないため決済利益が安定しない。
- リスク予測を誤って(調子に乗って)大きなポジションを取ってしまい大損する可能性がある(下落すると早く負けを取り戻したいと思い大幅に取引額を増やしてしまい、さらに下落して破産という自制心不足による負けパターンが多い)
- 下がった場合に損失が膨らむ。
★ループイフダン、トラリピ(等幅等量ナンピン)
ループイフダンやトラリピはナンピン同様に下落した場合に買い増します。
ナンピンと違うのは買うレートや数量、決済レートが予め決まっていることです。
また、ポジションを一度に全部決済するのではなく、一定の値幅毎に決済します。(以下、単に「ループイフダン」と書きますがトラリピでも同様)
●ループイフダンの長所。
- ナンピンより小さな上げ幅で一部のポジションを決済し利益が得られる(決済利益はナンピンより大きい)
- その都度、買うレートや数量、決済レートを考える必要がない。
- 自動化されているので発注が楽。
- 決済レートが決まっているため決済利益が安定している。
- 最大ポジション数を事前に決められるので、(調子に乗って)大きなポジションを取り大損することがない。
●ループイフダンの短所。
- 一部のポジションしか決済しないので、その後もポジションが残る。
- 下がった場合に損失が膨らむ。
★共通の短所。
下がった場合に損失が膨らむのは共通の短所です。
FXのようにレバレッジを掛けた取引でナンピンすると危険と言われることが多いですが、これはFX批判が盛んだった時期(※)に広がった安直な結論であり、やり方次第でリスクをコントロールできます。
確かに無計画にポジションを増やすとレバレッジが上がっていくので大きな損失を被るリスクもあるのですが、最大ポジション数をコントロールする等、きちんとレバレッジ管理をしていれば大きな損失を避けられます。
※FXが批判されていた理由。
FXが始まった当初はFXはハイリスクだというメディアのネガキャンが一斉に行われていました。
リスクを理解せずレバレッジ200倍の限界まで大きなポジションを取り大損したというような失敗例があったのは事実ですが、実際には当時はFX広告が少なかったため新聞等のメディアがFXに批判的な記事を乱発していたこと(株をメインに扱う証券会社(新聞等のスポンサー)等が顧客を取られることを恐れてネガキャンを繰り広げたこと)等が実情です。
その後、新聞等にFX広告が増えたり、証券会社等がFX業界に参入するようになり、こうした批判的な論調は消えました。
未だに当時のネガキャンを真に受けてFXは危険だという偏見を持っている人もいますが、自分でレバレッジ管理すればよいだけの話なのでFXが特にハイリスクという訳ではありません。
株のように投資した会社が倒産して株の価値がゼロ円になることもないですし、株よりボラティリティも低く値動きも予想しやすいので、やり方を間違わなければ株より低リスクです。(海外FX業者は例外で、お金を返さない等のトラブルが多いのでお薦めしません)
●ループイフダンとナンピンのどちらが有利か。
これらを踏まえどちらが有利なのかを考察します。
検証条件。
1円毎に1万ドル買い増し、利益1万円毎に利確。
比較しやすくするために、買うレートや数量はループイフダンと同じとし、決済条件だけ変えるものとします。
ドル円が下落し102,101,100円で買った場合(下図の青丸)、ループイフダンでは「101円」になった時(100pipの上昇)に100円のポジションを決済し(下図の赤丸)、1万円の利益(残りポジション2万ドル、含み損1万)となります。
一方、ナンピンでは平均価格101円、3万ドルのポジションとなっているため、「101.34円」の時(134pipの上昇。下図の赤丸)に利益が1万を超え、そこで全てのポジションを決済することになります。
一方、ナンピンでは平均価格101円、3万ドルのポジションとなっているため、「101.34円」の時(134pipの上昇。下図の赤丸)に利益が1万を超え、そこで全てのポジションを決済することになります。
その後、ループイフダンでは102円になった時にさらに決済され1万円の利益、含み損0になります。
ナンピンでは決済と同時に買う場合、102円になった時は101.34円で取ったポジションの含み益が7600円であり、トータル利益17600円となりループイフダン利益の2万円より少ないです。
このようにループイフダンはナンピンより小さい値動きで利益が得られるので、ナンピンより大きな決済利益が得られます。
ループイフダンは常に100pipで利確できますが、ナンピンは利確幅が常に100pip以上となるし、その幅がいくつになるかも値動き次第(ポジション数次第)なのでいつ決済されるかわかりにくいです。
101.34円まで上昇した後に下落する場合は、ナンピンでは101.34の一つしかポジションを持っていませんが、ループイフダンでは102、101のポジションを持っているためループイフダンの方が損失が膨らみやすくなります。
まとめると、
また、いくつかの条件で15年分のバックテストをしたところ、ナンピンだと決済回数が大幅に少なくなる(10分の1程度)ことも確認しており、含み損を加味してもループイフダンの方が有利というのが結論です。
- ループイフダンの方が常に決済利益は大きいが、
- (ナンピンだと決済できる程度に)反発した後に下落すると含み損のポジションが残る分だけループイフダンはナンピンより損失が大きくなる場合がある
また、いくつかの条件で15年分のバックテストをしたところ、ナンピンだと決済回数が大幅に少なくなる(10分の1程度)ことも確認しており、含み損を加味してもループイフダンの方が有利というのが結論です。
●ナンピンの応用例【レンジ上でのみナンピン】
高値のポジションを残したくない場合はナンピンの方が適していると考えることもでき、例えばループイフダンの想定レンジ上限を超えた場合は手動でナンピンするようにしてなるべく高値のポジションを残さないようにするといった戦略も可能です。(ただし決済までの時間も長くなるので損益上どちらが有利かは相場次第)
ポジション間隔を大きくするといった調整も出来るので、レンジ上抜け時など、高値警戒感があり急落リスクのあるイレギュラーな相場に対しては、一時的にナンピンに切り替えるのもアリかもしれません。
●両建てナンピン。
さらに、その買いナンピンのポジションが全部なくなるまでの間に限っては、両建ての要領で売りナンピンも追加(両建てナンピン)するとよい場合もあります。
売りポジションが膨らんで損するリスクもありますが、高値付近なのでリスクは小さめであり、高値予想に自信があるなら利益アップを狙うのも手です。
両建てナンピンも両建てループイフダンと同様のリスクがあるので下記記事も参考にして下さい
★★★ まとめ。
ナンピンはリスク管理が難しいことや、発注の手間が大きいこと、決済回数が大幅に少なくなること等から、ループイフダンの方が優れていると思います。
また、レンジ内で推移した後にレンジ上限で決済する(終了する)場合は、含み損のポジションがなく、それまでの決済利益も大きいのでループイフダンの方が利益が大きくなります。
ナンピンをする場合、低スプレッドのFX業者を使うのが手っ取り早く利益を増やす方法なので裁量トレードにお勧めの低スプレッドFX業者を使うのがよいと思います。
ナンピンをする場合、低スプレッドのFX業者を使うのが手っ取り早く利益を増やす方法なので裁量トレードにお勧めの低スプレッドFX業者を使うのがよいと思います。
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