ループイフダン検証ブログ

ループイフダンを検証!【目安資金】【バックテスト】【投資法】等が人気記事。ループイフダン情報が最も詳しいブログです。「長所短所まとめ」等のお勧め記事を閲覧推奨。著書好評発売中!


タグ:両建てループイフダン

ループイフダンでは損切りアリと損切りナシのいずれかを選択できます。

そこで、ループイフダンやトラリピ等において、
①損切りしない戦略(損切りナシ。下図)と、
②含み損の多いポジションを損切りしつつループイフダンで買い直す戦略(ひとつのポジション含み損が一定の額になった時点で、そのポジションを損切りしつつ、同時にループイフダンで新たなポジションを買い直す戦略。以下、損切りアリ
 のどちらが有効かを検証します。
損切りなしループイフダン

損切りありループイフダン

また、損切りすると投資効率が悪くなる理由を紹介します。

まず簡単にまとめると以下の特徴があります。

●損切りナシの長所短所。
損切りしないため確定損失を出さずに利益が得られるというメリットがある反面、
最大ポジション数に達した後だと値幅の分だけ反発しても利益が得られない場合があるのがデメリットです。

●損切りアリの長所短所。
下落時にも最大ポジション数を増やすことなく、値幅分反発した時に利益を得られるというメリットがある反面、
当初の決済レートに戻った場合でも損切りの確定損失を取り戻せるとは限らないことや、損益が予測しにくいこと等がデメリットです。

どちらの戦略が有利かを各相場状況について検証します。

●上がり続けるだけの場合や、最大ポジション数の範囲内の場合。
どちらの場合も損切りが発生しないのでどちらの戦略でも同じ損益になります。

●下がり続けるだけの場合。
この場合はどちらも利益は発生せず、どちらも同じポジション数で下落していくことになるので損失額は同じです。
 
但し、損切りナシでは損失は全て含み損ですが、損切りアリでは含み損と確定損失になります。
含み損が確定損失になると年内利益の調整ができないので節税には不利です。(詳しくはこちら(ループイフダンの節税)を参照)

●V字型に反発した場合。
損切りナシの方が利益が大きくなります。
具体例で説明します。

簡単のため1万通貨、値幅1円の買システム、最大ポジション数はどちらも3とします。(損切りアリでは、最大ポジション数になった後に次のエントリーレートに到達したら、損切りしつつ新たにポジションを取るものとします。)

110→107110の場合。
検証107
損切りアリでは損切り3万、利確3万で損益0万。(上図。最大ポジション数3のためポジションは110,109,108の3つとなるが107で110のポジションを損切りしつつ新たにポジションをとる)
検証107ループイフダン
損切りナシでは損切り0万、利確2万で損益2万。(上図。最大ポジション数3のためポジションは110,109,108の3つとなり109と110で2回決済)
 
ですので、損切りナシの方が有利です。

110105110の場合。
下落幅が大きい場合を検証します。
検証105
損切りアリでは損切り9万、利確5万で損益-4万。(上図。最大ポジション数3のためポジションは110,109,108の3つとなるが107で110のポジションを損切りしつつ新たにポジションをとる。106,105でも同様に損切り。)
検証105ループイフダン検証ブログ
損切りナシでは損切り0万、利確2万で損益2万。(上図。最大ポジション数3のためポジションは110,109,108の3つとなり109と110で2回決済)
 
この場合も損切りナシの方が有利です。

このように損切りによる確定損失は一直線に上昇するような相場では取り戻せないためV字型に反発する相場では損切りナシの方が有利です。
 
この違いは1回の損切りの損失が3万なのに対し1回の利確の利益が1万なので一直線に上昇する場合では損失を取り戻せないために起こります。

また、より詳しく見れば、損切りアリでは利確(利食い)した直後のポジション数が最大ポジション数より小さくなるためとも言えます(利確時にはそのレートで既にポジションを持っているため新たにポジションを取らないことから、ポジション数が一つ小さくなる)。

●損切りナシの最大ポジション数に達したレート以下で反発を繰り返す場合。
この場合は損切りナシでは利益が得られず、損切りアリでは利益を得られる状況を繰り返すことになるので、通常はそのレート範囲での利確が多ければ損切りアリが有利になります。
検証105有利なパターン
先ほどの例(110→105→110の場合)で考えると利益差が6万なので、最大ポジション数になったレート(108円)を下回ったところ(105-107)を行き来して決済回数(利確)が6回を超えるなら損切りナシの方が利益が多いことになります。(105-107を動いている限り損切りは発生しません。105-106や106-107を行き来しても利確できます。)

上の例では110円まで戻ることを想定していますが、戻らない場合でも損切り1回につき損失3万なので3回利確すれば損失を取り戻せることになり、長く元のレートに戻らない場合等、相場状況によってはこちらが有利ということもあり得ます。

ですが、これは一見簡単そうで案外難しい値動きですので注意が必要です。
というのも、損切りは3円下落するだけで発生しますが、3回の利確には1円下落、1円上昇の2円分の動きを3回で合計6円分動く必要があり、そのような動きをするとは限らないし時間もかかります。

また、最悪なのが、最大ポジション数になったレート(上の例では108円)以下において、損切りした後に上昇したが損切り分の損失を取り戻せないパターンを繰り返し、損失が膨らむことです。
 
例えば、110から104まで損切りしつつ下落し、最大ポジション数になったレート(108円)以下の104円から108円の間を何度も往復する場合を考えます。
検証104
104円から108円に上がる時の利確回数は4回で4万の利益となりますが、再び下落すると108円のポジションが105円で損切りされ、107円のポジションが104円で損切りされるため合計2回で6万の損失が発生し、1往復すると損益は-2万となります。
ですので、このような動きを繰り返すと損失が膨らみます。

(これは往復する際に損切りが発生することにより生じる問題なので、最大ポジション数を大きくすることにより損切りの幅を大きくすればこうした問題が起きるリスクを減らせます。ただし、最大ポジション数が多いと1回の損切り額が大きくなりその損失をカバーするのも難しくなります。)

このような動きもあり得るため損益が予測しにくいのも損切りアリのデメリットです。

★まとめ。
  • 最大ポジション数の範囲内の値動きならどちらも同じ損益。
  • V字型では損切りナシが有利。
  • 最大ポジション数を超えて下落する場合は、損切りが少なく決済回数が多ければ損切りアリが有利(損切り分を決済回数でカバー)。すぐに最大ポジション数の範囲内に戻す場合は損切りナシが有利。
ループイフダンでは、そのレートより下落する可能性が低いと思うところで最大ポジション数を設定するのが普通なので、その予想が当たっていれば損切りナシが有利ですし、予想が外れてそれより下で長く動くようなら損切りアリが有利ということになります(ただし、値動きによっては不利にもなり得る)。

一時的に円高になっても長期で見れば円安が進むという相場観の場合はV字型のパターンに近い結果となることから損切りナシが適しています(損切りアリだと円安になっても損切り分の損失を取り戻せない可能性がある)。

結局は、相場予測・最大ポジション数設定次第ですが、下記の理由からも損切りナシの方が有利な場合が多いです。
 
両方の戦略を平行して行う等のリスク管理方法もあるのでご自身の好きなように色々試してみるとよいと思います。

●損切りすると投資効率が悪くなる理由。損切り分を取り戻すのが大変。
ループイフダンでは下落時に値幅毎にポジション数が増えるため損失が膨らみやすいです。

例えばドル円B15、1000通貨の場合、3円下落時の損失額は28500円です。
ドル円B15の平均利益は1日約1105円なので(バックテスト参照)、この損失を取り戻すには26日かかることになります。
 
下落幅が大きいと更に損失が膨らむため、損失を取り戻すのに必要な日数も多くなります。
そのため、損切り分を取り返しつつトレードを続けるより、なるべく損切りしない方がよいです。
ループイフダンやトラリピで損切りしてはいけない理由
 (更新履歴:2014年11月17日投稿、2018年3月5日更新)

ループイフダン等で下落時損失を抑える方法【両建てヘッジの使い方】

ループイフダンやトラリピ等では下落時に損失が膨らむ性質があります。
下落時損失を抑える方法としては、値幅を大きくする、最大ポジション数を小さくする、取引数量を小さくすること等が有効ですが、ここでは別の方法「両建てヘッジ」を紹介します。
(なお、トラリピは手数料が高いのでお勧めできません。ループイフダンの方が利益が11-78%も大きくなります) 

★ループイフダンで下落時損失を抑える方法【両建てヘッジ】
簡単のため買いのループイフダンの場合を説明しますがトラリピ等にも使えます。

●両建てヘッジの方法:
買いのループイフダンを稼働させた後(短期であれ長期であれ)下落すると思った場合に、通常注文で(ループイフダンではない普通のFX注文で)売りポジションも取ります。
 
こうすることで、ループイフダンの下落時損失を売りポジションの利益で相殺することができます。

売りポジションは他社でもよいのですが、ループイフダン取引画面から出した方が資金の移動をしなくてすむので簡単です。


両建てヘッジ
↑イメージ図。図の青線より下では売りポジションの利益でループイフダンの下落時損失が相殺できる。

【使い方の一例】ループイフダンB100で取引数量10(10000通貨)、最大ポジション数20で運用している場合、
 122円に10000通貨、
 121円に10000通貨、
 120円に10000通貨、
といった具合に保有ポジション数が増えていきます。

120円から両建てヘッジを実行する場合、120円の時点での買いポジション数の合計(30000通貨)に合わせて両建てヘッジを行う必要があります。

売りポジションの数量をどの程度にするかは、どれ位ヘッジしたいかによります。
  • 売りポジション数が買いポジション数の合計より「小さい」とヘッジの効果も小さいため下落時に損失が膨らみますが、
  • 売りポジション数が買いポジション数の合計と「同数なら」と下落時の損失が増えないレベルのヘッジ効果があり、
  • 売りポジション数が買いポジション数の合計より「大きい」とヘッジ効果が大きいため下落時に利益が得られます(その代わり、上昇すると損失が増える)。
例えば、上の例では120円の時点で30000の買いポジションを持っているため、
  • 1000通貨の売りポジションを取っただけではヘッジ効果は小さいですし、
  • 30000通貨の売りポジションを持てば下落時の損失をちょうど相殺でき、
  • それ以上のポジションを持てば下落時に利益が得られます。
なお、下落により新たに買いポジションを持った場合は、それに合わせて売りポジション数を考慮し、必要なら売りポジションを追加します。 (最大ポジション数になった後は、それ以上ポジション数が増えることはないので、売りポジションを増やす必要はない。)

★メリット
●下落時損失を抑える。
下落を続ける場合、そのまま放置しておくとポジションが増えていき含み損も膨らんででしまいますが、この方法を使って売りポジションを取ると、一時的に(売りポジションを決済するまでの間)売りポジションの利益が買いループイフダンの下落時損失を相殺するため、損失が増えるのを抑えることができます。

売りポジション数が買いのポジション数の合計より大きければ下落によりトータルで利益も発生します(買いポジション数の合計と同数の売りポジションなら下落時損失を売りポジションの利益で相殺できます。ただし、下記デメリット記載のコストは発生します)

●反発時に決済利益が得られる。
下落しても通常の買いループイフダンが稼働中なので、反発時に決済利益が得られます。

●ループイフダンを停止しなくてよい。
下落が続くと見込む場合に下落時損失を抑えるためには一度ループイフダンを停止するという方法もありますが、両建てヘッジを使えばループイフダンを停止する必要がありません。
そのため、含み損益を確定損益に変えずに済むので節税等に役立ちます。(節税はこちらの記事を参照)

●ロスカットの代わりや急落対策等に使える。
損切り注文を入れる代わりに、両建てとなるよう売り逆指値注文を入れて両建てヘッジすることができ、損切りレート(両建てレート)を指定できるというメリットがあります。

また、ここを超えたら一気に急落するというチャートポイントに逆指値で売りポジションを取るようにすれば急落への対処法として使えます(←重要。記事下部も参照)

★デメリット
●売りポジションが損失を生む可能性。
底値で売りポジションを決済できればかなりの損失を相殺できますが、売値より高値になると売りポジションまで損失を抱える恐れがあります。
 
ヘッジのためと言いつつも、本質的に売りポジションを持っているだけなので、売りで儲ける裁量トレードと同じくらいの難易度です。

売りポジションの弊害が大きくなるのは大きく上昇して買いポジション数の合計が少なくなった場合です。
買いポジション数の合計が売りポジション数より少なくなると、上昇時の利益の増分(含み損の減り+決済利益)よりも、売りポジションの含み損の増分の方が大きくなるため、上がれば上がるほど損失が膨らむことになるので注意が必要です。
両建てヘッジ。マニュアルヘッジオペレーション2
●マイナススワップ。
売りポジションがマイナススワップの場合、損失が膨らむことになります。

●売りだけの方がマシな可能性。
下がると自信を持っているなら、買いのループイフダンを停止してから売る方が効率よく稼げます。(反発を利益化できなくなりますが、ループイフダンの下落時損失がなくなるため利益が増えやすい)

★結論。
一見すると下落しても通常通り値動きで儲けつつ、下落時損失も抑えられる夢のような方法と誤解するかもしれませんが、上記の通り、デメリットもあるので注意して下さい。
 
下落時損失をヘッジする方法というより、平行して売りで稼ぐだけと考えた方がわかりやすいと思います。
ですので、下落が続くと判断した場合において、売りで儲ける自信がある時や、急落時のようにどこまで下がるかわからない時に両建てヘッジが有効ということになります。

売りポジション数を変えた場合もその損益が変わるだけで、特定の数字なら特別な効果が得られるというものではないので、結局最適な売りポジション数は相場次第であり(単に売り注文で儲ける場合と同じ。)、いくつがよいと断定できるものではありません。
 
両建てヘッジに限った話ではないですが、長く両建てを続けるのはマイナススワップが大きいことや、売りポジションに含み損を抱える恐れがあるので注意が必要です。
両建てヘッジであっても、両建てするのはあくまで一時的な下落に対処するためにすべきです。

デメリットも詳しく説明したため使いにくい手法だと思うかもしれませんが、急落対策として非常に使えるテクニック(特に下記の使い方が有効)なので、ループイフダンを使う場合には必ず理解して下さい。 

ループイフダンを例に説明しましたが、トラリピ等にもそのまま使えます。

(なお、当然ですが、売り買いを逆にした場合も同様なので、例えばドル円売りのループイフダンに買いポジションを取ることで両建てヘッジしても上記長所短所があります。)

●やる場合の注意点。
上記のメリット・デメリットを理解した上で、両建てヘッジが有効な場面や使い方の一例を紹介します。

★重要レートを割ったところで両建てヘッジする。
普通のFXでも重要レート(レンジ下限等)にロスカット注文を入れておくのは常套手段ですが、両建てヘッジでも同様の使い方が有効です。

つまり、重要レートを割った時に両建てヘッジが完成するように、あらかじめ逆指値新規注文を出しておきます。(以下の例を参照)

すぐに反発してしまい両建てヘッジの売りポジションが大きな含み損を抱えることになるのを防ぐために、売りポジションにはきちんとロスカット注文を入れておくのがよいと思います。

これがロスカットされると悔しい思いをすることになるかもしれませんが、急落時の含み損拡大を防ぐために必要なコストと割り切ることが重要です。長期的には両建てヘッジしつつループイフダンを続ける方がパフォーマンスがよくなります。

下落が収まったと思った時点で手動で売りポジションを決済してもよいです。

【例:買いループイフダン稼働時】
ドル円で120-125円のレンジが続いている場合に、レンジ下限120円を割ったら売り注文(逆指値の新規注文)が約定するようにしておく。
そして、この売りポジションのロスカット注文は121円程度にする。
両建てヘッジの使用例

●両建てヘッジにお薦めのFX業者。
両建てヘッジをする場合、売りポジションは裁量トレードでする必要があり、その分のトレードはなるべく低スプレッドのFX業者を使うのが手っ取り早く利益を増やす方法です。

2016年9月26日のバージョンアップでループイフダンの取引画面から通常注文も発注できるようになったので、そこから注文するのが最も簡単です。)

特にお薦めなのは裁量トレードにお勧めの低スプレッドFX業者という記事でまとめているので参照して下さい。
(更新履歴:2015年3月12日投稿、2021年8月27日更新)

●ループイフダンの含み損についての考え方。
ループイフダンでは基本的には下落時にポジションを取るため高値更新した時以外はほとんど含み損を抱えることになります。(トラリピ等にも言えることです)

これは悪いことではなく、含み損を抱えるからこそコンスタントに(値幅分動く毎に)利益を出せるのであり、これがループイフダンの強みです。

そこで、理想的なシステム停止のタイミングを紹介します。

●高値付近でシステムを止めると損失が少ない。
システム停止時において、システム稼働時からのトータル損益がプラスになるかは、次式により決まります。

 システム稼働時からのトータル損益=それまでの決済利益+スワップ損益-含み損

「含み損(下落時損失)」は「システム稼働後の最高値」と「システム停止時のレート」により決まるので、この値が小さければシステム停止時の損失が小さくて済みます。
(含み損(下落時損失)の計算方法はこの記事(目安資金)で、「システム稼働後の最高値」から「システム停止時のレート」を引いたものを「下落幅」とすればよいです。)

そのため、損失を少なくしつつシステムを停止させる最適なタイミングは、含み損が小さい時であり、具体的にはレートがシステム稼働後の最高値に近い時ということになります。

高値更新した時の注意点をこの記事で書きましたが、高値更新した時にこれ以上は上がらないと考えるなら、システムを停止させることも検討するとよいと思います。

ループイフダンを停止させるタイミングは、相場状況を変える程の大きなニュースが出た時や、トレンドラインや節目となる数字等、テクニカル上で重要なレートを割る時等がよいことが多いです。

●決済利益・スワップが大きいならプラ転しやすい。
それまでの決済利益やスワップ損益が大きい場合は含み損が大きくてもトータル損益がプラスになることがあります。
 
決済利益やスワップはロスカットされない限り、普通は長期で運用していけば自然と増えていくので、高値に近づけない場合でも長期でプラ転するのを待つといった戦略も可能です。
豪ドル円のようにスワップが大きい通貨ではこうした戦略が特に有効です。

上がると思うなら買いポジションを持ち続けるのが普通ですが、長期でみても上がりそうにないとか、下がると思うようなら損失が膨らむ前に止めてしまうのもよいでしょう。

●システムを停止させた後の戦略。
システムを停止させた後にどうするかは相場観次第です。
もっと上がると思うなら下落時損失を考慮して取引数量を小さくしたり値幅の大きいシステムに変えて買い続けるというのもよいと思います。

これ以上は上がらないと思って買いシステムを停止させた場合は、相場が下がると予想して売りシステムを稼働させるでもいいですし、何もしないのもアリだと思います。

下がると思う時に値幅の大きいシステムで再び買うのも一応ありですが、このシステムの通算損益を黒字で終わらせるにはやはり今のレベル(自分がこれ以上上がらないと思い買いシステムを停止させたレベル)付近までレートが上がるのを待つことになり気の長い投資になる可能性があります。(もちろん、レートがそこに戻らなくても決済利益やスワップが多ければ黒字になることもあります。)

両建てループイフダンは注意すべきポイントが多いのでこちらの記事も参照して欲しいのですが、理想的な終わり方についても説明します。(トラリピ等で両建てした時にも当てはまる話です) 

両建てした場合、大抵は買い、売り両方のシステムで含み損を抱えることが多いです。
ですが、「システム稼働後の最高値」に近づいた時には買いシステムはほとんど含み損がなく、売りシステムは含み損が多い状態になります。

このタイミングで買いシステムのみを停止させればほとんど損失を確定させることなく売りシステムだけに切り替えることができ、ここから下落した場合にも含み損が膨らむことがなく、売りシステムでの決済利益が得られます。

注意点としては、売りシステムのみになった場合、スワップ損失が大きくなりやすいです。
また、さらに上昇した場合、買いシステムの利益で売りシステムの含み損をカバーするといった効果がなくなるので上昇時の損失を評価し直す必要があります。
両建てループイフダンの理想的な終わり方2

●もう1つの方法。高値と安値の中間で両建てループイフダンを決済。
  
上記よりは確定損失が大きくなるためあまりお薦めできませんが、高値と安値の中間付近で両建てループイフダンを決済すると、高値付近で買いと売りを全て決済する時より確定損失が小さくなります。

含み損は下落幅が大きくなるほど増えるので、買い・売り両方の下落幅(上昇幅)が小さくなる高値と安値の中間付近であれば、買い・売りそれぞれの含み損が小さくなるためです。

例:ドル円B15、S15では
0円下落時(上昇時)の損失は0円、
5円下落時(上昇時)の損失は85,833円、
10円下落時(上昇時)の損失は338,333円です。
 
そのため、値幅10円の両建ての場合、
高値(10円上昇時) の損失
0円(買いポジの含み損)+338,333円(売りポジの含み損)=338,333円
ですが、

5円
上昇時(下落時)の損失
85,833円(買いポジの含み損)+85,833円(売りポジの含み損)=171,666円
で済むので、確定損失を半分近くに減らすことができます。
(なお、安値(10円下落時)の損失は高値(10円上昇時)の損失と同額になるので省略)
両建てループイフダンの終わり方2
(参考情報。2016年9月26日のバージョンアップ前はシステムを停止させる時は一気に全てのポジションを決済し、その損失を確定する仕様でしたが、バージョンアップによりループイフダンを停止してもポジションが決済されないよう改善されました。)

●両建てループイフダン。
両建てトラリピという手法があり、これは通常の買いだけのトラリピに加えて売りのトラリピも仕掛けるというものです。
取引数量や値幅、レンジを変える等のバリエーションもあります。
 
今回はそのメリット、デメリットをまとめ、ループイフダンや擬似トラリピで両建てを実行する場合の注意点・デメリット対策を紹介します。

★メリット。
●決済利益が2倍に。
上昇時、下落時共に利益が出せるため、単純計算で決済利益が2倍になります。

●証拠金が少なくて済む。
買い、売りのどちらか多いほうの分の証拠金だけで済む業者があり、その場合は証拠金が少なくて済みます。(いわゆるMAX方式)
 
ループイフダンもトラリピもこのケースに当てはまります(但しトラリピは売り買いの両方に手数料がかかります)。(仕様変更により削除)

★デメリット。
●レンジの上下どちらに抜けても損失が膨らむ。
買いだけの擬似トラリピでは、レンジを下抜けすると損失が膨らみますが、上抜けした場合に損失が膨らむことはありません。
 
ところが、両建てトラリピだと上抜けしても下抜けしても損失が膨らみます。
例えば、上抜けした場合、売りポジションが値幅毎に増えていくのに対して買いポジションは一つだけなので、トータルでは売りポジションの数が増えてしまい損失が膨らみます。
 
また、この場合、売りポジション分のスワップがマイナスだと、ポジション数が大きいためマイナススワップも大きくなってしまい、決済利益よりスワップ損失の方が大きくなる可能性もあり、トータルで勝つのも難しくなります。

以下、具体例で説明します。
例:105円でドル円値幅100(10000通貨)の両建てループイフダンをした場合。
 
各レートに達した時点で決済利益1万が得られるものの、下表のポジション数となり上がっても下がってもポジション数が膨らみます。(買1は買ポジション数が1の意味。カッコ内は含み損)
 
105→107に上昇する場合。
105円 買1(0万) 売1(0万)
106円 買1(0万) 売2(1万) 決済利益1万
107円 買1(0万) 売3(3万=1万+2万) 決済利益1万

105→103に下落する場合。
105円 買1(0万) 売1(0万)
104円 買2(1万) 売1(0万) 決済利益1万
103円 買3(3万) 売1(0万) 決済利益1万

さらに105→103→105のような値動きをした場合、103円到達後からは下表の通り売り買い合わせた最大ポジション数が4となるように動くので、元のレートに戻った時でもポジション数は減らず損失を抱えたままになります。

105円 買1(0万) 売1(0万)
104円 買2(1万) 売1(0万) 決済利益1万
103円 買3(3万) 売1(0万) 決済利益1万
104円 買2(1万) 売2(1万) 決済利益1万
105円 買1(0万) 売3(3万) 決済利益1万
両建てループイフダンの注意点。ループイフダン検証ブログ
これはループイフダンが103円で新規売りポジションを取るために起こります。
したがって、売り買い利益が両方ともプラスとなることはなく、含み損の分の利益を決済利益でカバーする必要があります。
 
売り・買いの両方で決済利益を得られるので長い目で見ればプラスになる可能性もありますが、レンジから外れロスカットされるリスクがあり難しいです。
なお、104円以下になったら売りシステムを手動停止する等して損失を抑えることも可能です。 

以上をまとめたのが下図です。 

両建てループイフダンのポジション数
 
★両建てが有利とは言えない
両建ては利益が2倍だから有利と考えている人がいますが、リスクも2倍だということに気付いていないようです。
 
利益を2倍にしたいなら買いのポジション数を2倍にしてもよい訳ですし、それとリスクはほぼ同じです。
つまり、買い方向(下落時)へのリスクを増やすか、売り方向(上昇時)へのリスクを増やすかの違いです。

結局、両建ては上がっても下がっても、
レンジ幅が広がる度に損失が増えていくという最悪のパターンに陥ることが確定しています。

この記事では両建てに関する注意点を紹介していますが、両建てを推奨している訳ではありません。

(2017年2月追記。両建てを検討する場合、長期的にはレンジの上か下に抜けるというリスクがあることも考慮すべきです。長期では上に抜ける可能性が高いと考えるならば、どこかの時点で買いだけのループイフダンに切り替える等の対処が必要になります。) 

●スワップ損失が大きい。
多くのFX業者では買い(プラスのスワップ)より売り(マイナスのスワップ)のスワップが大きいため、買い売りを同数だけ両建てした場合にもトータルではスワップがマイナスになります。特に売りポジション数が大きくなる場合に注意する必要があります。

★デメリット対策。
これらのデメリット対策として、売りの値幅を大きくしたり、売りの取引数量を小さくすることにより、売りのポジション数が小さくなるように工夫するという手法もあります。
こうすればある程度は含み損やスワップ損失を小さくすることが可能です。

いくつかのパターンを紹介します(USD/JPYループ・イフダンB15_15はドル円15買のように表記)。両建てループイフダンを例に挙げていますが、両建てトラリピや両建て擬似トラリピ(両建て手動トラリピ)でも同様です。

●値幅を変える。
例:ドル円15買1000通貨とドル円100売1000通貨。
 
値幅が狭いほどポジション数が大きくなるので、ある程度のレンジ内ではドル円15のポジション数が大きくなりスワップでの損失を軽減できます。
 
レンジを上抜けした場合、売りポジション数が増えますが、値幅が大きいとその増加ペースが遅いため損失も小さくなります。(損失はこちらで計算できます。)
 
売りポジションは最大ポジション数の設定上限まで増える可能性がありますが、値幅を大きくすることにより決済利益が得られる範囲に余裕をもたせることができます。

●取引数量を変える。
例:ドル円15買10000通貨とドル円15売1000通貨。
 
実質ドル円15買9000通貨と同じと勘違いしそうですが違います。
ポジションが一つだけの両建てとは違い、ループイフダンシステムの両建てでは値動きにより買と売のポジション数に差が生じるためです。
 
この場合だとレンジを上抜けした場合に売りポジション数が膨らみます。
上抜け時の売りポジションは最大ポジション数の設定上限まで増える可能性があるのに対し、買いポジションは最大で10000なので、その差分だけ損失が生じます。
 
売りが最大ポジション数となった時のポジション数が買いポジション数より小さい場合はレンジを上抜けしても損失が膨らむことはありません。
 
例えば、売りの最大ポジション数が9(9000通貨)なら、買い(10000通貨)の方が多いので、上抜け時に売りポジションの含み損は増えますが、買いポジションの利益でカバーできます。

●通貨を変える。
例:豪ドル円20買1000通貨、ドル円25売1000通貨。
 
買スワップの高い豪ドル円と売スワップの低いドル円を組み合わせた戦略です。
スワップ損失を小さくする効果が期待できます。
また、クロス円は似たような動きをすることが多いので、比較的両建てに近いパフォーマンスになると予想されます。
 
2014年7月4日時点のスワップは豪ドル円買い70円、ドル円売り-6円なので、単純計算すると12倍であり、この範囲のポジション数比率になるようにすればスワップ損失を回避できることになります。

●レートにより戦略を変える。
例:ドル円が105円以下ではドル円15買1000通貨、105円以上ではドル円15売1000通貨も稼働。
 
ある程度上昇してから売りシステムを稼働させればその損失を減らすことができます。
ドル円が120円まで上昇すると考えた場合、105円から売りシステムを稼働させれば上昇幅は15円分に抑えられ目安資金が小さくなります(損失はこちらで計算できます。)。
 
さらに、110円以上ではドル円25売1000通貨も稼働のようにして値幅の違うシステムを追加することによりレートに応じた戦略を立てることもできます。
また、105円を下回ったら売りシステムを手動停止する等すれば再び105円を越えた時の売りシステムの損失を抑えることができます。

<イメージ>
     ドル円15買1000通貨+ドル円151000通貨+ドル円25売1000通貨
110円----------------------------------------
     ドル円15買1000通貨+ドル円151000通貨
105円----------------------------------------
     ドル円15買1000通貨

●各パターンの組み合わせ。
例:豪ドル円40買5000通貨、ドル円100売1000通貨、ドル円が110円を超えたらドル円50売2000通貨を追加、豪ドル円が70円を下回ったら豪ドル円20買3000通貨を追加。
 
上記パターンを組み合わせて損益を最適化するものです。
レンジを予想して各レートにおける損失を合算することによりリスク管理できます。
両建てループイフダンの含み損を抑える方法

●両建てループイフダンの理想的な終わり方。

こちらを参照して下さい。