ループイフダンBSというアイネット証券の新機能を紹介します。
ループイフダンBSは、従来のループイフダンより少ない資金で簡単な運用ができるというものです。
仕組みを簡単に説明すると、ポイントは次の3点です。
- 買い(B)と売り(S)のループイフダンを両建てし続ける。
- 最大ポジション数になったら損切りして新規ポジションを取る。
- 資金や設定(値幅、最大ポジション数)について初心者向けのアドバイス機能がついている。
↑ループイフダンBSの取引イメージ
以下詳しく解説します。
ループイフダンBSのメリット
買い・売り両建てだから利益が2倍以上になる
従来のループイフダンは買いまたは売りの片方を運用するのが基本なので、上げや下げのどちらか一方でしか利益を出せません。
ループイフダンBSは買いも売りも同時に運用する仕様なので、上げでも下げでも決済利益を上げることができます。
値幅の分だけ動く度に決済利益を得られるので、買い・売りの一方だけを運用した場合よりも単純計算で利益は2倍以上になります。
ちなみに、通貨ペア、取引数量、値幅、最大ポジション数といった設定は買い、売りともに同じになります。
ちなみに、通貨ペア、取引数量、値幅、最大ポジション数といった設定は買い、売りともに同じになります。
(なお、ここでの利益は含み損、ロスカットの損失、スワップを含みません。これを加味した評価は後術します)
必要証拠金が半分で済む
従来のループイフダンで両建てすると買いにも売りにも証拠金が必要でした。
ループイフダンBSは買い、売りの一方の必要証拠金だけでよいので従来の半分の証拠金で取引できます。
余裕資金が増えるのでロスカットされにくくなっており、両建てループイフダンの利用者にとっては大きなメリットです。
アドバイス機能で初心者も簡単に始められる
ロスカットされないために必要な資金や、よりロスカットされにくい設定を提案してくれる機能です。
初心者には便利だと思います。(ただし、自分でこれらを計算しない人はいつまでも投資スキルが上達しないので注意して下さい。)
下記の3つが提案されます。
①過去5年の値幅(最高値と最安値の差)が示されその値幅を目安とした必要資金が紹介されます。
資金が不足しているなら追加資金の目安が表示されます。
②値幅を広くする設定の一例が示される。
現在入力している設定より余裕を持った設定として値幅を広くした場合の詳細が表示されます。
この設定に従えば必要資金が少なくなるメリットがあります。
ただし値幅を広くすると利益は少なくなることが多いです。
③最大ポジション数を減らす設定の一例が示される。
上記と同様に、最大ポジション数を変えた場合の詳細が表示されます。
必要資金が少なくなるメリットがあります。
一方、最大ポジション数を減らすと1回のロスカットでの損失額は小さくなるもののロスカットされる変動幅(下落幅)は小さくなり、ロスカットされる可能性は高くなります。
ループイフダンBSのデメリット
両建てループイフダンと同じなので以下の記事も参考にして下さい。
両建てループイフダン長所短所まとめ
上記リンク先でも書いている通り、両建てループイフダンは長期放置すると超高確率で負ける投資法なので、はっきり言って私は両建てループイフダンもループイフダンBSもお勧めしません。
上記リンク先でも書いている通り、両建てループイフダンは長期放置すると超高確率で負ける投資法なので、はっきり言って私は両建てループイフダンもループイフダンBSもお勧めしません。
一応簡単におさらいしておきます。
長期放置だと「必ず」ロスカットされる
長期では「必ず」レンジの上か下に抜ける時が来ます。
買いループイフダンだけを運用するならレンジを上抜けしてもロスカットされず、下抜けしたときだけロスカットリスクがあります。
しかし、両建てループイフダンやループイフダンBSはレンジを上下どちらに抜けても「必ずロスカットされます」。←超重要。
ですので、ロスカットされる前にロスカットされる額以上の運用成績を出し続けなければならないのですが、言うまでもなく非常に難しいです。
以下、説明を簡単にするため、大雑把な計算例を紹介しますが、
例えば資金100万で始めロスカットされると100万円失うとします。
始めてから10年後にロスカットされるなら、それまでの間毎年7%程度以上のリターンを出さなくてはいけません。(複利計算すると利回り7%の10年運用でほぼ100万円の利益になるため。)
これだけ稼いでいても1回のロスカットで全ての利益を失ってしまうということです。
言うまでもなく10年以内にロスカットされれば投資開始時より資金が少なくなります。
なお、実際は稼いだ分だけ資金に余裕ができロスカットされにくくはなっていますが、総資金に対する比率で利回り計算しているので、総資金が増えるほど7%利回りに相当する利益額が大きくなります。
ですので、ループイフダンBSの設定を見直し取引数量を増やす(ループイフダンBSを追加する)などの対応が必要でありますが、その計算は面倒です。
ですので、ループイフダンBSの設定を見直し取引数量を増やす(ループイフダンBSを追加する)などの対応が必要でありますが、その計算は面倒です。
同様に計算すると、5年後ロスカットなら15%以上、3年後なら26%以上、2年後なら41%以上、1年後なら100%以上のリターンが必要になります。
簡単な例を紹介しましたが、きちんと数字でリスク・リターンを評価して投資をしている人ならこれがいかに難しいかがわかると思います。
このデメリットを避けるためにはループイフダンのBSを長期放置しない(短期で止める)ことが重要です。
短期運用ならば止めるタイミング次第で勝てるため少しはマシになります。
ただし、実際は止めるタイミングを予想するのは思っている以上に難しいです。
ただし、実際は止めるタイミングを予想するのは思っている以上に難しいです。
想定レンジを抜けたら、またはロスカットされたら止める(この場合高い確率で投資開始前よりお金が減っています。)などのルールを作っておき、「絶対にそのルールを守る」という強い意志が必要だろうと思います。
なお、私はそもそも両建てループイフダンやループイフダンBSをせずに、普通に買いのループイフダンだけでドル円のように値動きの読みやすい通貨ペアを運用しておくのがよいと思っています。
私は両建てループイフダンを検証する時に取引数量、値幅、最大ポジション数、通貨ペアなどを変えてみた場合の過去20年分のバックテストして全てのパターンを検証しています。ですが、残念ながら長期放置で勝ち続けられる設定ほぼないです。
勝てている設定は20年前よりレートが高くなっており高値付近でバックテストを終えた通貨ペアで、買いの取引数量を多めにしている場合(売りの取引数量が相対的に小さいためその含み損も小さい。要するに売りポジション自体がないに等しい場合。)など、極めて限定されています。
ループイフダンBSは必要証拠金が少ない点を除けば両建てループイフダンと同じ挙動なので、利益も当然同じです。
ループイフダンBSが「長期で」勝てる見込みは低いと思います。
ループイフダンBSが「長期で」勝てる見込みは低いと思います。
なお、ループイフダンBSを停止する際は、買い・売り両方のループイフダンが停止され新規ポジションを取らなくなります。
アドバイス機能の「5年」は不十分な可能性
アドバイス機能では過去5年レンジ幅(過去高値と過去安値の差)で検証していますが、私の感覚からすれば5年という期間は明らかに短すぎます。
リーマンショックの前後の動きすら無視することになってしまいます。
史上最高値、史上最安値を見る方がベターなのは言うまでもないですが、確かにこれを全てカバーするようにループイフダンを稼働させると利益が小さくなってしまうので、どこまで見るかは各通貨ペアごとの事情を踏まえ個別に考える必要があります。
ドル円のようにメジャーな通貨ペアはそういう検証もしやすいですが、マイナーな通貨ペアだと非常に困難です。
いずれにせよ、一律5年で評価することのリスクをよく考えて下さい。
マイナススワップで損失地獄になる可能性
最近は低金利の国が多いので買い、売りとものスワップが小さいですが、それでもやはりマイナススワップのダメージがは大きいです。
買い・売りのスワップポイントの差が小さいことも重要です。
ドル円は以前は買いと売りの絶対値の差が小さく10円以下(2020年1月は7円程度)でしたが、2021年8月時点では34円もあります。
この状況でマイナススワップの売りポジションを持つのは苦しいと思います。
豪ドル/NZドル(AUD/NZD)は例外的に買い・売りのスワップ差が小さい(2021年8月時点で買い-4円、売り2円で絶対値の差は2円)ので、他の通貨ペアに比べればループイフダンBSに向いています。
過去のチャートを見る限りでは変動幅が小さいのもループイフダンBSや両建てループイフダンには向いているように見えます。
とは言え、はっきり言ってオーストラリア、ニュージーランドの両方の経済について詳しい人もほとんどいませんし、そもそもアメリカなどのメジャーな国に比べて情報が少ないため、これらのマイナーな国の情報をしっかり見ていくのは難しいです。
ファンダメンタルズを見ることなく投資するのは全くお勧めできないという意味でも豪ドル/NZドルの投資には慎重であるべきだと思います。
「豪ドル/NZドルに固有のリスクは?」と聞かれて10個以上を即答できないようなら取引すべきではありません。
豪ドル/NZドルであれ、いつか過去のレンジを割るのは確実です。
他人の言うことを鵜呑みにしたり、都合のいい予想ばかり立てている人が、こうしたマイナーな金融商品に飛びつきやすいという印象です。(ビットコインなども同様)
デフォルトで損切りありになっている
ループイフダンBSの仕様であり、変えられないようです。
損切りなしにできると仮定すると、最大ポジション数になった時はループイフダンのBSの言うような買いでも売りでも利益を出せる状態にはならないので、システム設計上仕方ない気はしますが、損切りが続くような状態だと損失の方が大きくなりトータルで負けることになります。
長期安定運用を目指すなら最大ポジション数にならないよう余裕を持った設定(最大ポジション数を大きくする、値幅を大きくするなど)にする必要があるでしょう。
損切りを繰り返しながら運用を続けるのはお勧めできません。ほとんどの場合、利益額より損失額の方が大きいからです。
買い、売りの取引数量が同じ
上記の両建てループイフダンの解説記事に詳しく書いていますが、両建てループイフダンのリスクを下げる方法の一つとして買い、売りの取引数量を変えるというテクニックがあります。
しかし、ループイフダンBSではデフォルトで買い、売りの取引数量が同じになっており変更できません。
そのため上記のテクニックを使いたいなら自分で買いループイフダンだけを追加で稼働させるといった対応が必要になります。
例えば、ドル円でループイフダンBSを取引数量1万ドルで稼働させ、さらにループイフダンの買い(B)を1万ドル稼働させるといった具合です。
★★★
ループイフダンBSのまとめ
両建てループイフダンをする人にとっては、ループイフダンBSの必要証拠金が少なくて済むことは明らかなメリットです。
また、アドバイス機能は初心者にとっては役立つ機能だと思います。
デメリットについては両建てループイフダンのデメリットと同じであり、長期放置すればいつか必ずロスカットされます。
以上、厳しいコメントも色々書いてきましたが、私のアドバイスを無視して両建てループイフダンをしている人にとっては必要証拠金が少ないという意味でループイフダンBSを始める価値があると思います。
ですが、買い・売り一方だけのループイフダンを稼働させる方がマシだと思います。
下記の関連記事で両建てループイフダンの使い方や損失が増える原因、リスクを減らすテクニックなどを詳しく解説しているので参照して下さい。
ループイフダンBSのリリース予定日
デモ口座:2021年8月28日メンテナンス後
本番口座:2021年9月 4日メンテナンス後
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(更新履歴:2021年8月27日投稿)